Subject: 「すべてがFになる」
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Date: Fri, 18 Nov 2011 08:23:56 +0900

「すべてがFになる」
森　博嗣
463p
「僕は専門ではないから、多重人格というものが具体的に、いや物理的にどんなものかよく知らないけど、もともと、個人の中には、いろいろな人格が存在するんじゃないかな。
そんなことはない、という人もいるかもしれないけれど、少なくとも僕は…、僕の中には、けっこう沢山の人格がいるね。
僕の個人的な意見として、人間って、単一人格者の方が少ないと思っている」
犀川の話に、また、誰も反応できなかった。
犀川は振り向いて全員に話を始めた。
「日本は液体社会で、欧米は固体社会だと…、さきほど話しましたけど、これは、個人の場合でもいえるんですね。
日本人って、個人の中の沢山の人格を、液体のようにミックスして攪拌してしまうのです。
欧米の思想はそうではない。
やっぱり固体なのです。
日本もこれから、だんだんソリッドになっていくのでしょうか?」
そう、真賀田四季は、固体も長い時間で見れば液体だ、と言った。犀川は思い出す。
…（以下略）